大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)1459号 判決

上告人(被告・被控訴人) 中内幾太郎

被上告人(原告・控訴人)

兵庫県合同食品株式会社

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高岡次郎の上告理由第一点について。

原判決が、その挙示の証拠関係のもとに、適法に認定したところによると、訴外大館清明が「中中内商店名義でした本件売買およびその解除により生ずる本件前渡金返還債務に関し、上告人において商法二三条の規定に基づきその責任を負うべきであるとする原判決の判断は、当審も正当として是認することができる。

原判決には所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

同第二点について。

原判決挙示の証拠によると、所論の点についての原判決の認定した事実を肯認しうるところ、右認定した事実関係のもとでは、被上告人のした催告および解除権の行使が有効であるとした原判決の判断は、当審も正当としてこれを支持しうる(双務契約の当事者の一方が自己の債務の履行をしない意思を明確にした場合には、相手方が自己の債務の弁済の提供をしなくても、右当事者の一方は、自己の債務の不履行について履行遅滞の責を免れないとすることは当裁判所の判例(当小法廷昭和三八年(オ)第三二二号、同四一年三月二二日判決)とするところであって、被上告人のした解除が有効なことは、明らかである。なお、論旨中には催告の不特定をいう部分もあるが、本件取引に基づいてその目的物件の引渡を催告しているのであるから、催告として特定しているものというべきである)。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 柏原語六 裁判官 下村三郎)

上告理由〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例